かわうそドラマ

ドラマ 時々 映画と本 の感想ブログ

重版出来! 第1話 夢を描いて感動を売れ!涙と勇気がわきだす新人編集者奮闘記!

好きなドラマトップ3に入る重版出来。

各回、漫画家さんが一人づつテーマになるドラマであり、第一回目は三蔵山龍先生がメイン。

 

最終回を見てから第1話を見ると、第1回が三蔵山先生で本当に良かった!と思う。

 

仕事に前向きで、アシスタントに対しても優しく人格者。

そんな先生でも挫折感を味わうこともある・・・

人間味があっていいんだよね。

 

三蔵山先生の原稿が間に合わないかもしれないとなった時、

先生の元へ駆けつける五百旗頭・・・

別で紙面を埋めれる漫画を提案する安井・・・

 

こういった細かい点でもそれぞれのキャラクターの性格が活きているところが本当すごい。

 

八丹先生が「オワコン」について、編集部へ話に行った時も、主人公の黒沢には話せず、編集長がきてから話すところも

わかってる!

となった。

 

普通のドラマなら、ここで単純に主人公に話すんですよね。

この細かいワンクッションこそ脚本・野木さんの真骨頂だと思っています。

 

 

例え方・アイデアもうまい。(それは原作者案かな?)

ネームの読み方を楽譜の読み方に掛けるところ、良かった。

仏像を下から見ることで、絵のバランスの崩れに気づくシーンも良かった。

 

 

人間は尊く美しく、優しさこそが強さなんだ

 

作品を通して三蔵山先生、そして野木さんが伝えたいこと。

野木さんの作品を通して、この言葉の意味が痛いほど伝わってくる。

 

 

先生の教えを守り、何ヶ月も前倒しで原稿を作成していた元アシスタント達。

 

編集者の意見を取り入れ、長年使ってきた道具にこだわらず、

デジタルに挑戦するところ。

 

 

改めて見るとどこもいいシーンだよなー。

 

心の服装も可愛いな〜。

アンナチュラル 第9話 敵の姿

野木さんの本領発揮回だ!

このドラマの凄いところは第一話から同じ「テーマ」を忠実に守っていること。

 

第一話で示されたように、ミコトが仕事を行う目的は「不条理な死」という敵に立ち向かうこと。

そして犯人は「法」で裁くこと。

 

一歩間違えれば、ただの犯人探しのミステリーに陥りそうなところを、

常に「法医学者」としての視点に戻っている。

 

今までドラマで取り上げられ続けた普遍的なテーマを扱っているのに、

他のドラマと何かが違うと感じるのはこういう視点なんだろうなと思う。

 

あくまでミコトたちの役割は「法医学」を通して不条理な死に立ち向かうことなんでしょうね。

 

ミコトが役割を意識していることを通して、きっとドラマを作るチームも

「脚本」「演出」「役者」・・・全ての人が、お互いの役割を意識し、

お互いの役割を尊重しているんだろうな、と伝わってきます。

 

 

それにしてもいつもはクライマックスに持ってくる主題歌の「lemon」を中堂と糀谷夕希子のシーンで流すのは反則です!

 

 

「どういう理屈だ。」

「理屈じゃないの。」

 

「私たちは法医学者です。法で落とし前をつける。」

「理屈はそうだ。犯人を見つけ出して殺しても何も変わらない。

死んだ者は生き返らない。綺麗な花になることもない。理屈ではな。」

 

夕希子の「理屈じゃない」という言葉をこのタイミングで使用することになるなんて悲しい。

 

 

9話を通して、未だに残っている謎は週刊ジャーナルの目的。

このドラマはあくまで法医学ドラマでミステリーではないことを考えると

犯人は別にいることは考えずらい。

 

宍戸はただ単に大きなスクープを取ることだけが生きる目的なのか・・・?

末次はなぜ六郎をUDIに送り込んでいたのか・・・?

 

次回予告を見て、

あれだけ批判していた、嘘の鑑定書を書くことに葛藤するミコトも見れそうだし、

今までの回で伝えていたことを覆すような展開が待っていそうだと思った。

 

来週1時間でこれら全てが解決するのか?

でもこのチームなら大丈夫。伏線を回収し、綺麗いまとめてくれると信じています。

重版出来! 第7話 天才VS凡人…マンガの神様に愛されたい!

重版出来の中でベスト3に入る好きな話。

基本、天才・中田伯が絡む話は大好きなのです。

このドラマで永山絢斗を知ったけれど、中田伯以上にハマり役はないんじゃないかと思っている。

 

野木さんの脚本の中には、様々な人物の感情を表現するため、いつも複数のストーリーが絡み合っているけど、特にこの回は秀逸だった。

 

先輩アシスタントの沼田から見た天才・中田伯。

沼田が彼の描くマンガに嫉妬するまでの流れ。

 

過去の天才漫画家の落ちぶれた姿と、普通が良かったという牛露田獏の娘。

 

ネームノートにインクをこぼした犯人は三蔵山先生の奥様だと思い込んだり、大塚シュートに嫉妬する中田伯。

 

過去のトラウマから人に当たることもあるし、完璧な人間ではない。

それでもその中田伯に憧れた沼田。

 

そして、沼田が漫画で伝えたかったことを唯一わかってくれたのが中田伯だった。

 

 

天才じゃない、ただの凡人の自分は沼田の気持ちが痛いほどわかる。

日々の中で誰かに嫉妬し、つい嫌みになるようなことを言ってしまうようなこともある。

 

そして親が特殊な仕事をしている自分は普通でいたいという牛露田獏の娘の気持ちも理解できる。

 

 

「冗談でも思ってないことは口にしないほうがいいですよ。言葉の力は強いんです。」

これは本当だよね。でもそれがなかなか出来ない。

 

絵が下手でもマンガに対する思いが強く伝えたいことがある彼は強い。

彼の話を通して、小説やドラマと同じでマンガは、思いを伝える一つのツールだもんな、という当たり前のことを感じる。

 

 

「特別な人間でいたかったんです。」

凡人であることを受け入れなければいけなくなった沼田のこのセリフ。

天才と凡人の違い、特別な人間ってなんだろうね。

 

 

「頑張ってくれ、俺の分も。」

「無理です。僕は僕で他人にはなれませんから。」

「そうだな、その通りだ。」

このセリフを言わせることで、天才と凡人の違いをあらわしているところがすごい。

最後まで沼田の気持ちがわからなかった中田伯も最後まで中田伯で良かった。

 

普通のドラマならここでお互い分かり合うシーンになるところが、

最後までそれぞれのキャラクターを貫いているところがこのドラマの良いところだと思う。

 

 

アンナチュラル 第5話 死の報復

ドラマの方向性が定まったターニングポイントとなる回だった。

ミコトと中堂が思うそれぞれの「法医学の仕事」への向き合い方がハッキリした。

 

死体損壊罪、木林さんの存在感、666番、中堂さんの家へ向かう久部くんと東海林さん、エプロン姿のミコト・・・細かいネタの挟み方が抜群。

 

楽しいシーンと哀しいシーンのバランスがさらに良くなってきている。

わかりにくい言葉を「文字」として表現する、この演出もかなり効いてきている。

 

 

 

「今結論を出さなければ、もう二度とこの人物がどうして死んだのかを知ることはできない。

今、調べなければ、調べなければ、永遠に答えのでない問いに一生向き合い続けなきゃならない。

そういう奴を一人でも減らすのが法医学の仕事じゃないのか。」

 

倫理と感情の狭間で悩むミコト。

誰かの一生を救うとはどういうことなのか。

救いたいという気持ちはミコトと中堂は同じなんだろう。

 

マンションで鈴木さんの彼女の死因を究明するため協力し合う中堂とミコトを見ていると、鈴木さんを救いたいという気持ちで繋がっていたことがわかる。

 

ただし、救うということの意味が全く異なった。

 

「殺す奴は殺される覚悟をするべきだ」

中堂にとって復讐こそが救いだった。ミコトは違う。

 

ミコトも重い過去を背負っている。

そこは、重い過去の原因となる人物が生きているか死んでいるかの違いなのだろうか。

それとも、過去にとらわれている中堂と過去から脱却したミコトとの違いなのだろか。

 

今回の主題歌「lemon」の入るところのシーンは圧巻だったな。

哀しいはずの雪のシーンが綺麗で。

 

「鈴木さんに人なんて殺して欲しくない。」「うん、そうだね。」

今回の件で、ミコトは中堂さんが赤い金魚の犯人を見つけたら殺しに行くことを理解した。

人なんて殺して欲しくないというのは、中堂に人を殺して欲しくないという気持ちなんだろうね。

 

「法医学者として何かできることがあれば・・・。」

「今やってる。」

これは野木さんのドラマのセリフでよくある考え方ですよね。

特別なことを行うのではなく、今ある目の前にある仕事に真摯に向き合うこと、その大切さを感じるセリフ。

 

「同情なんてされたくない。」「同情なんてしない。絶対に」

同情・・・今回の中でミコトが何回も言っていた言葉。

自分が同情されたくないからこそ、中堂の過去に踏み込むことを決めた。

 

中堂のことに踏み込もうとしているけど、ミコトが自分の過去をUDIのメンバーにちゃんと話していないところが気になっているところなんだよね。

 

ただ、これから赤い金魚事件で協力体制を取るであろう二人の活躍が楽しみだ。

 

 

アンナチュラル 第1話 名前のない毒

大好きな脚本家 野木亜紀子さんのオリジナル作品ということで、期待して視聴。

 

ドラマ開始前から膨らみきった期待。しかし、それを上回る面白さでした。

 

 

真剣なシーンと軽いテンションのシーンのバランス・・・

異性間交流会、背中調べ 等の言葉のチョイス・・・

二転三転する展開の速さ・・・

 

どれをとっても最高です。

UDIラボが架空の機関だと思えない。

あくまで死体とは仕事として向き合っているから、

ミコト達は冗談も言うし、どこまでも現実的。

死体に対して過剰な反応をしない、こういう表現が他のドラマにない良いところなんだよね。

 

 

お気に入りは、ミコトが久部くんのバイクの後ろに乗って葬儀場へ行くまでのシーン。

 

中堂に「なんだその格好」と言われてから、ズボンを履くところに脚本のきめ細やかさを感じるし、音楽の入り方が秀逸でした。

 

 

「法医学は未来のための仕事。」

ラストまで見ることで、この言葉の重みが伝わってきた。

きっとこの言葉は、全編を通して伝えたいことの一つだろうな。

 

「誰が死んでもどうでもいい。」

被害が最小限になった、大切な人を失った人にとってそんな慰めどうでもいいんですよね。

自暴自棄になったわけではない、このタイミングで静かにこのセリフを言わせることがすごい。

 

「姉ちゃんは見せれらないんだよ、自分の寝顔。」

今までの彼氏になかなか自分のことをさらけ出すことができなかった私は、痛いほど気持ちがわかって辛い言葉だった。

私は運良く、全てをさらけ出せるような相手に出会えたけれど、全てをさらけ出せることが本当にいいことなのかどうか正直迷っている自分がいる。

家族ってなんだろう。

 

さて、最終回までに自分の中の答えがでるか。